ポートフォリオ制作記

「ポートフォリオ(portfolio)」をネットで検索すると「複数の書類をひとまとめに持ち運べるケース」とか「金融商品の組み合わせ」など、色々と説明が出てきます。ことクリエイターの分野で言うと「自己アピールや売り込みツール、あるいは就職・転職のために使う職務経歴書の一種」とでも言えるでしょうか。要はクリエイターの作品名刺と言ったものです。自己紹介と作品紹介を1つの冊子にしたもの。冊子と書きましたが最近ではPDFにしてWEBでも閲覧できるようにすることもあります。今年の夏、過去にストアカの「【平日1週間5回コース】初心者向けイラレ講座①【手ぶらもOK!】」を受講いただきました方から「ポートフォリオを作りたいのですがアドバイスいただけますか」というご相談を、そこから約4ヶ月かけて2024年10月28日に完成したので、今回はこのお話です。

ご相談いただいた方(以降Aさんと呼ぶ)はイラストレーターとして個展や作品の販売を行っている経歴の持ち主。ストアカには今年の春に応募があって5日間の初心者向けイラレ講座を受けていただきました。講座終了後はご自身がお持ちになっているCS6のイラレを使ってポートフォリオなどを制作していたのかな?そういう環境って大事ですよね。とにかくAdobeのソフトは使って覚える!これに尽きます。ご自身がお持ちのイラレを使ってポートフォリオを制作する。今回はこの制作過程で、おせっかいアドバイスをさせていただきつつ、ファイルを6冊とWEB用のPDFを完成させました。

始まりは7月はじめに頂いた1通のメールでした。「ポートフォリオを作りたいのでアドバイスいただけませんか?」とのご連絡。イラレ講座に来ていただいた方から講座終了後にも相談をされるって本当に嬉しいことです。元々はイラストレーターさんなので既に作品はいくつもある状態、なので大きな壁である「作品づくり」という第一行程はクリアしていました。なので「とにかく人のマネをして作ってみよう!」という事でネット検索で出てきたポートフォリオのいくつかのページ写真と簡単なラフ&説明書を書いて「ざっとでも良いので作ってみよう」とアドバイス。私もそうですが自分ひとりで作ると本業で時間がとれなかったり、時間はあるけど怠け病が出たり、やる気スイッチが入らなかったりするので、期限を確か3週間ってしたのかな?とにかくでき上がったものがないとアドバイスするのも抽象的になって難しいので、まず作ってもらうことにしました。

余談ですが、Aさんの場合はポートフォリオに載せる作品が既にあるという事で、これは大きいことです。過去にもポートフォリオ作りをお手伝いしましたが、たいていの場合は作品がないので、まず掲載する作品を作るところからスタート!特に就職・転職希望の方は、私の方からお題をだして作品を3つ以上作ってもらって、そこからA4見開き4ページのポートフォリオに仕上げていくので初心者には一人で作るとなるとハードルの高い作業とエネルギーが必要になります。なのでポートフォリオを作りたいという人へ、ここまでの段階でアドバイスするならば
 ①まず自分の作品を最低3つは作ること(がんばれ!)
 ②4ページのポートフォリオを想定して表紙・裏表紙の制作、中面(2ページ)には作品掲載

  あとプロフィールをどこかに載せる
といったところでしょうか。当たり前といえばそれまでですが、まずこれを準備しましょう!

話しはもどって・・・とりあえず作ってみよう!という事で制作ができたAさん。具体的なポートフォリオが出来ればアドバイスも具体的にしやすくなります。まずページ数が多くなってくると順番が大事になります。同じテイストの作品が並んでいると間延び感と言いますか無駄な感じを与えてしまいます。グッズ関連は作品だけでなく出来上がった商品もセットで掲載すると分かりやすいよね。あとページのメリハリ。ページの大見出しは大きく強く。解説文はサブキャッチと同じで読みやすく適度な大きさ。参照データは小さく。これはDTP的な目線かもしれませんが、紙面に統一感とメリハリをつけること、これ大事です。

ポートフォリオって、ただ作品を載せれば良いという訳ではないと私は思っています。まあポートフォリオに答えはありませんので正解は解らないし、正解は自分の体験数で見つけていくものだと思うのですが、私の経験から思った事はAさんにアドバイスさせていただきました。その内のひとつはタイトルと作品だけにはしないということ。説明文などの掲載の提案かな?もう少し細かく解説すると、ポートフォリオは手渡しで渡すだけのもの、書類を送るだけのもではなく、そこからゴミに捨てられない限り、ずっと相手先や担当者さんの懐に存在するんだよね。書類の中で埋もれさせないためには何が必要か?時間の経過や間接的な他の多くの人にも見てストレスをかからないもの、そして面白いと思うものにしないと意味がない。という事で私がアドバイスする時には、いつも3つの事をお話しています。3つとは
 ①使用ソフト&制作環境を書くこと
 ②だいたいの制作時間を書くこと
 ③制作までの流れ(コンセプトや制作中の思い出など)も入れること

これは入れた方が、どんな経過をたどったとしても相手に必要最小限のこと、相手が知りたいであろうことを伝えられる。大事な要素です。これからポートフォリオを作る人には参考にしてほしいな。ビジュアルも大事だけれど、仕事ってビジュアルだけではないんですよ。どれだけビジュアルが凄くても、相手に伝わらなければ意味がない。いかに相手を思いやり、気を使えるか。さらにはポートフォリオには性格も出るので、きっちりしているのか、おもしろいのか、雑なのか。色々と自分が出るものであり、相手に見られるものでもあります。ある意味で怖いですね。例えば個展を開催したのならば「いつ、どこで、どれぐらいの期間で、期間中の印象的な出来事なんかを入れるだけでも、作品の見る目は違ってきます。作品展に出品した。これもそうだよね。そこで自分の意思とは別のところで相手の方の心に引っかかる何かがあるかもしれない。大事なことです。

あと、これも大事なことなのですが、作品の良し悪しは自分で決めない!ということ。自分の中ではイマイチだと思っても相手の評価は違っていた!こういう事は実に多いです。自分の価値観だけで進めると、どうしても掲載する作品が同じ感じのもに偏ってしまう。ではなくて、なるべくバラエティに作品は載せるべきだと私は思っているので、自分では「失敗」と思ったものでも、逆に面白みというか人間味というか、それをネタにして自己アピールにつなげられる。自分のことを相手に知らせる絶好のアイテムとして載せてほしいなって思います。

テクニック的な事で言うと解説文は端的に。口調は同じで統一するというのも大事かもしれないですね。活字離れが進む社会で長文を読んでもらうのは大きな壁です。興味を持ってくれた人は読むけれど、そうじゃない人は、例えばこの長文ブログだって開いた瞬間にページから離脱してるよね(笑) そういう事で言うと、ここまで文章を読んでる人は100人に1人ぐらいかな。それを50人に1人にするためにも、なるべく端的な解説は必要です。さらには統一感。統一感は簡単に言うと文章の終わりが「だ」で終わるのか「でした」で終わるのか。これこそライティングのテクニック的な部分かもしれませんが、なるべく気をつけて文章を書くことも大事なことです。

そんなこんなでウチの事務所の関係で1ヶ月半ほど時間があいて10月29日に最終段階へ。この1ヶ月半で中身も大きく変わっていてビックリ。「すごく考えたんだろうな」って。クリエイターにとってポートフォリオは自分の命みたいなものだからね。最初にもらったものとは違って凄くブラッシュアップされていました。念のため前日に写真のリンク漏れなどがないかの確認でオンラインストレージでデータ一式を送ってもらったのでデータはOK! 制作中には私の中では思いつかない様な折り込みページを追加したりして逆に勉強になるな〜って思いながら、2時間半ぐらいかけて6部ほどAさんひとりで印刷・製本して完成。私は隣でアシストしながら事務所の環境を使ってもらった感じでした。プリンターがレーザーなので仕上がりも奇麗ですが、ぱっと見は解らないけれど表紙の一分に少し薄い線が入ったのは残念だったかな? 飼い主と同じで肝心なところでポンコツなプリンターです。

プラス印刷物とは別にWEB用PDFもその場で制作しました。高解像のポートフォリオPDFと低解像のポートフォリオPDF、ネットで売り込みする時代になったので必須です。イラレの別名保存をたくさん行ったので、Aさんにはこの作業が一番苦痛だったみたい。だけど1回の経験は必ず次回につながるから、これもまた勉強という事で。そんなポートフォリオ制作記でした。これからポートフォリオ作りをしようと思われた方の参考になれば嬉しいです! 私とご縁があった人は連絡いただければ同じ様にアドバイスしますよ!